外国投資企業における外国人労働者の雇用に関する留意事項【WEB限定記事】
1. はじめに
ベトナムにおける外国投資企業の多くが、外国人労働者を雇用しています。一方で、外国人労働者の就労形態に関するベトナムの法令への理解が十分ではなく、就労形態を適切に判断・選択できていない企業も少なくありません。その結果、労働許可証の取得義務や社会保険への加入義務、その他企業が負う各種法的義務について、法令の適用を誤ってしまう事態が生じています。
2. 新政令(政令第219/2025/ND-CP)
ベトナムにおける外国人労働者の就労について定める政令第219/2025/ND-CPでは、外国人労働者がベトナムで就労する形態として12種類が規定されています。就労形態ごとに、適用要件、労働許可証の要否(または免除手続)、就労可能期間、社会保険への加入義務などが異なります。そのため、各就労形態の相違点を正しく理解し、自社に適した形態を選択することは、企業の法令遵守および法的リスク軽減の観点から極めて重要です。
就労形態の判断を誤った場合、企業には以下のような法的リスクが生じる可能性があります。
・行政処分の対象となるリスク(法令に違反した雇用とみなされるため)
・労働許可証の再取得(再申請)が必要となるリスク
・労働契約の終了に伴う労働紛争が発生するリスク
・社会保険料の遡及支払いや退職手当の支給など、追加的な金銭負担が発生するリスク
2. 典型例:企業内転勤(本社派遣)における盲点と当局の判断
典型的な失敗例として、親会社からの「企業内転勤」の形態でベトナムに派遣される外国人労働者のケースが挙げられます。企業内転勤は、所定の要件を満たす場合に労働許可証の発給免除(免除承認手続き)の対象となる就労形態です。しかし、免除を受けてベトナムへ赴任したにもかかわらず、赴任後に現地採用社員と同様の労働契約を締結し、給与をベトナム法人から直接支払っているケースが見受けられます。
このような運用を行っている場合、労働関係の実態が企業内転勤ではないと所轄当局から認定されるおそれがあります。その結果、当該労働者は企業内転勤者ではなく「労働契約に基づいて就労する外国人労働者」として取り扱われ、企業には社会保険への加入義務が生じるほか、労働契約の終了時には退職手当の支払義務などの法的責任を負うことになります。また、事前に届け出た就労形態とは異なる形態で外国人労働者を雇用したとして、行政処分の対象となるリスクも否定できません。
このように、外国人労働者の就労形態を適切に選択することは、単なる行政手続上の問題にとどまらず、人件費や社会保険の負担、さらには企業が負う法的リスクに直結する重要事項です。
3. まとめ
したがって、企業が外国人労働者の労働許可に関する手続を行うにあたっては、適用される就労形態の要件を事前に十分確認・検討することが不可欠です。あわせて、関連法令の改正動向を継続的に把握し、コンプライアンスを徹底することで、不必要な法的リスクの顕在化を未然に防ぐことが強く求められます。
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