ドンナイ新時代 -工業集積地から、空港連動型の南部ベトナム成長ゲートウェイへ

Q1

中央直轄市化後のドンナイの産業ビジョンについて教えてください。

ドンナイが中央直轄市となったことで、工業団地政策や投資誘致戦略にはどのような変化が生まれるのでしょうか。従来の「工業省」という枠組から、今後はどのような都市型産業モデルを目指すのでしょうか。

中央直轄市への格上げにより、ドンナイ市は先進的な政策メカニズムを導入できるようになるとともに、地方分権と自治権のさらなる強化を見込んでおります。これにより、投資政策、土地管理、建設、都市計画、環境保護、科学技術、イノベーション、戦略的投資家の誘致といった多岐にわたる分野で、地域の実情に即した独自の政策を展開しやすくなります。この変革は、これまでの「量」を追求する投資誘致から「質」を重視する転換を強く後押しするものです。中核技術・先端技術を有し、高付加価値を創出するプロジェクトや、土地利用効率が高く、サプライチェーンの発展を牽引する事業を優先的に誘致する基盤となることが期待されております。

2026年7月21日に政治局は、ドンナイ市の新たな発展ビジョンを示す「決議第16号(16-NQ/TW)」を公布しました。同決議では、2035年までにドンナイ市を、空港と河川を軸とした近代都市へと発展させ、多極・多機能・グリーン・スマートを特徴とする都市モデルの構築を目指す方針が示されています。ハイテク産業、航空・宇宙産業、および航空関連経済において、国際水準の産業拠点として発展することが期待されています。

こうした方針のもと、ドンナイ市は単に工業団地の拡大を進めるだけでなく、「産業・サービス・物流・イノベーション」が融合した新たな成長モデルへの転換を目指しています。今後の工業団地は、ロンタン国際空港、港湾、物流センター、デジタルインフラ、都市・住宅地、商業サービス、人材育成システムと有機的に連携した総合的な産業エコシステムの一角として整備・発展していくことです。

既存の工業団地については、グリーン化・スマート化・循環型・低炭素化への転換を進める一方、新たな工業団地では、ハイテク製造業やエコ工業団地モデルを重点的に推進していきます。これらの取り組みを通じてドンナイ市は、多機能な成長都市として発展するとともに、ベトナム南部重点経済地域の戦略的玄関口、そして世界とつながる「エアポートシティ」としての地位を確立することを目指しています。

Q2

ロンタン空港がもたらす産業立地の変化について教えてください。

ロンタン国際空港の開業は、ドンナイの工業団地にどのような新しい投資機会をもたらすとお考えですか。特に航空物流、ハイテク製造、電子部品、半導体、航空関連産業への影響をどのように見ていますか。

決議第16号(16-NQ/TW)では、ロンタン国際空港は「ベトナム最大の国際航空ゲートウェイ」「国際トランジットハブ」「効率よく世界のサプライチェーンを支える戦略的拠点」と位置付けられています。そのため、単なる新たな交通の玄関口にとどまらず、ドンナイ市の産業構造そのものを大きく変革する役割を持つと期待されています。

工業団地にとっての大きなメリットは、製造業と航空、港湾、総合的な複合一貫輸送(マルチモーダル)物流ネットワークとの連携が飛躍的に強化されることです。電子部品、半導体、医療機器、精密機械、先端材料といった高付加価値製品を、世界市場へスピーディーに輸送できるようになります。また、空港の開港に伴い、保税倉庫、航空貨物物流、コールドチェーン、総合物流センター、技術サポート、航空関連サービスなど、新たな物流・サービス産業の発展が見込まれます。 ドンナイ市は、航空宇宙・航空産業をはじめ、関連サービス、物流、金融、商業、教育を含む、国際水準の各種サービス、先進的な航空産業エコシステムの構築を目指しています。また、人工知能(AI)、データセンター、クラウドコンピューティング、半導体、量子技術、バイオテクノロジー、先端材料などの戦略的技術分野の開発にも重点的に取り組んでいきます。

DNIEZAは、ロンタン周辺の工業団地を先進的な航空産業エコシステムの中核拠点と位置付けています。先進的なデジタルインフラ、安定した電力・給水インフラ、環境関連施設、物流サービスを一体的に整備し、高度な産業基盤を確立します。製造、研究開発(R&D)、実験認証、物流を有機的に結ぶ産業クラスターの形成を促進していくと考えています。フォックアン港やカイメップ、広域交通への優れたアクセス性を生かし、ロンタンはドンナイにおける新たなハイテク産業集積地を牽引する中核拠点となっていくでしょう。

Q3

FTZ構想と工業団地の連携について教えてください。

ロンタン空港およびフォックアン港と連動するFTZ(自由貿易地域)構想について、工業団地政策とはどのように連携していくのでしょうか。FTZは、通関、物流、商業、金融、R&D、ハイテク製造をどのように結びつける構想でしょうか。

自由貿易地域(FTZ)の構想に加え、ロンタン・エアポートシティと連携した特別経済区(SEZ)、デジタルテクノロジー拠点、イノベーションエリア、大学・研究教育ゾーンの整備は、ロンタン国際空港とフォックアン港を核とする自由貿易地域(FTZ)モデルの実現に向けた重要な戦略基盤となります。

自由貿易地域(FTZ)は工業団地と切り離して考えるのではなく、一体となったプラットフォームとして整備されるべきであると考えています。工業団地は「製造業、組立産業、裾野産業、ハイテク産業」の集積を担い、一方でFTZは、「通関、保税倉庫、航空、海上物流、貿易、金融、保険、流通、研究開発(R&D)、実験・認証、技術サービス」といった機能を提供します。双方が相互補完することで、製造から物流、研究開発、技術サービスまでを一気通貫で繋ぐ高付加価値型のエコシステムが誕生します。

これは、決議第16号(16-NQ/TW)で「近代的な航空、港湾、物流・サービス圏」と位置付けられた、ホーチミン市ービエンホアーロンタンーフォックアン港を結ぶ地域の構想とも合致するものです。製品や部品は工場、空港、港湾、そして海外市場と効率的に行き交い、研究開発、実験・認証、金融、市場などの機能が集積することで、ドンナイ市における付加価値のさらなる向上が期待されます。

FTZを効果的に運営するためには、特別な優遇政策、デジタル通関システム、データに基づくガバナンス、複合一貫輸送(マルチモーダル)ネットワークとの連携、戦略的投資家を誘致するための制度を一体的に整備していくことが大切です。ドンナイ市は中央政府と緊密に連携しながら、FTZおよび関連する法制度の整備をさらに推進していきます。FTZを単なる貨物の中継拠点にとどめることなく、市内の工業団地のバリューチェーンの高度化を支える戦略的プラットフォームへと発展させてまいります。

Q4

新世代・グリーン工業団地の方向性について教えてください。

Long Duc 3, Bau Can-Tan Hiep, Xuan Que-Song Nhan など、ロンタン空港周辺で新たに開発される工業団地は、従来型の工業団地と比べてどの点が異なるのでしょうか。グリーン、スマート、ハイテク、脱炭素、エネルギー管理、排水・環境処理などの観点から教えてください。一方で、労働集約型、環境負荷型、低付加価値型の投資については、今後どのように選別していく方針でしょう。

ロンタン国際空港周辺で開発が進められているロン・ドゥック3、バウカン・タンヒエップ、スアンケー・ソンニャンなどの新たな工業団地は、科学技術・イノベーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーン経済、循環経済、そして低炭素社会の実現を原動力とする新たな成長モデルを体現するものです。

従来の工業団地が主に「用地と基本インフラの提供」を目的としていたのに対し、次世代工業団地は「製造・サービス・イノベーションが融合した総合的な産業エコシステム」として計画されています。デジタルインフラ、物流、エネルギー、給水・排水処理システムは一体的に整備され、スマートマネジメント機能を備えます。クリーンエネルギー・再生可能エネルギーの活用、資源利用の効率化、水資源の再利用、環境モニタリングの自動化、さらには産業共生(インダストリアル・シンビオシス)を推進するとともに、公共交通機関、住宅地、商業・サービス施設、人材育成機関などとも密接に連携し、産業と都市機能が調和した持続可能なモデルを目指します。

投資誘致においては中核技術や先端技術を有し、高付加価値を創出する戦略的投資家および大型プロジェクトを重点的に誘致していきます。対象となる業界としては、航空・宇宙産業、半導体、電子、精密機械、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、先端材料、クリーンエネルギー、裾野産業などとなります。

一方で、ドンナイ市は、低技能労働力への依存度が高い案件、多消費型エネルギー事業、土地利用効率が低い事業、環境負荷の大きい事業、低付加価値の単純加工・組立にとどまるプロジェクトについては慎重に選定していくでしょう。こうした既存の事業に対しても、事業転換、技術高度化、エコシステム・企業間連携を積極的に支援し、土地利用価値の向上と温室効果ガス排出量の削減を図ります。こういった取り組みにより、グリーンでスマート、そして暮らしやすいエアポートシティとの調和ある発展を実現します。

Q5

新ホーチミン市の一体運営について教えてください。

HCMCとの交通接続、CT Bien Hoa-Vung Tau 高速道路(CT28)、HCMC-Long Thanh-Dau Giay 高速道路、Ben Luc-Long Thanh 高速道路、Ben Thanh-Suoi Tien メトロ延伸、将来の空港鉄道などのインフラ整備により、ドンナイの工業団地は広域的な南部経済圏の中でどのように位置づけられますか。

決議第16号(16-NQ/TW)では、ドンナイ市を「ベトナム南部重点経済地域の戦略的玄関口」と定義し、東南部、南中部沿岸、中部高原(タイグエン)地域、メコンデルタの各地域、さらには国際市場との連携を強化していく方針を打ち出しています。このビジョンのもと、ホーチミン市とドンナイ市は一体となって発展し、経済、都市・物流が融合した統合エコシステムを目指しています。特に、ホーチミン市ービエンホアーロンタンーフォックアン港を結ぶ地域は、「近代的な航空・港湾・物流・サービス圏」として整備される構想です。ビエンホア〜ブンタウ高速道路、ホーチミン市〜ロンタン〜ザウザイ高速道路、ベンルック〜ロンタン高速道路に加え、都市鉄道(メトロ)や空港鉄道などの基幹インフラの整備により、物流はもちろん、専門家や労働者の移動時間も大幅に短縮されます。ドンナイ市は、カンザー国際中継港、カイメップ・チーバイ港、ロンタン国際空港を繋ぐ現代的な物流ハブとなる計画です。これにより市内の工業団地は、単なる製造拠点にとどまらず、地域のバリューチェーン全体を支えるハイテク製造、研究開発(R&D)、物流・流通の統合拠点としての役割を担うことが期待されています。

ホーチミン市とドンナイ市は、それぞれの強みを生かした相互補完型の発展を目指します。ホーチミン市は「金融、商業、サービス、教育、イノベーション」の中核を担い、ドンナイ市は「ハイテク産業、航空経済、物流、大規模製造業」の拠点として発展していきます。投資家にとっては、研究開発から製造、輸出、さらには世界市場への流通までをシームレスにつなぐ、巨大な統合広域市場を利用できるという点が大きなメリットとなります。

Q6

日本企業へのメッセージをお願いします。

日本企業にとって、今後のドンナイ市はどのような投資先になるとお考えですか。特に電子部品、機械、精密加工、物流、環境技術、省エネ・再エネ関連企業に対して、どのような機会がありますか。

日本企業コミュニティが、長年にわたりドンナイ市の持続的発展に深く貢献されてきたことを大変高く評価しています。現在ドンナイ市の工業団地、経済区、ハイテクパークには、日本企業が279件あり、投資総額は約58億7,000万米ドルに達します。これは、投資額で第2位、プロジェクト件数で第3位の実績となり、6万1000人以上の人の雇用を創出しています。

中央直轄市への格上げは、ドンナイ市に新たな成長ステージをもたらします。今後は、世界とつながるエアポートシティとして、ハイテク産業、航空・宇宙産業、航空経済、物流の中心地として発展していくことを目指しています。これらの業界は、電子部品、機械、自動化、精密加工、先端材料、品質管理、裾野産業など、日本企業が強みを持つ領域と高い親和性を持っています。

今後は、半導体、航空機部品、航空・港湾物流、データセンター、環境技術、省エネルギー、再生可能エネルギー、水処理・水資源の再利用、さらにはスマート製造や低炭素型生産ソリューションなどの分野で、新たな投資機会が大きく広がることが期待されています。ロンタン・エコシステム、フォックアン港・戦略的交通回廊、自由貿易地域(FTZ)、そして次世代工業団地が一体となることで、研究開発(R&D)から製造、輸出までをシームレスにつなぐ産業基盤が整備されます。

ドンナイ市は、新規投資を歓迎するだけでなく、すでに進出している企業による事業拡大の案件も重視しています。DNIEZAは、「企業満足度」を行政運営の重要な指標と位置付け、行政手続きのさらなる改善を進めるとともに、インフラ整備、人材、サプライヤーへのマッチング支援などを強化し、プロジェクトのライフサイクル全体を通じて企業に寄り添いながら手厚くサポートしていく所存です。 ドンナイ市が、今後も日本企業にとって信頼できる長期的な投資先であり続けるとともに、グリーンでスマートな国際産業都市の未来を、日本企業の皆様とともに築いていけるものと確信しています。

(企業情報) Dong Nai Industrial And Economic Zones Authority – DNIEZA
No 26, 2A Road, Bien Hoa II Industrial Zone, Tran Bien Ward, Dong Nai City
Tel: (+84) 2513 892 338   Fax: (+84) 2513 892 139
https://dnieza.dongnai.gov.vn/en/Pages/home.aspx
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ベトナムビジネス・工業団地ガイド 「インベストアジア」

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