ベトナム製造業における「段階的自動化」のすすめ【Vol.20別冊省人化-2025.9掲載】

YAMAZEN VIET NAM CO., LTD.
平石 隼
HIRAISHI HAYATO

採用難がきっかけの自動化 – ベトナム北部で増える相談

ベトナム北部、とくにハノイ近郊では、製造業における人材採用の困難さが日増しに高まっています。「求人を出しても人が集まらない」「辞めるスピードが速く、定着しない」といった悩みが企業の間で共通しています。その結果「人が採れないから自動化を考えたい」という相談が急増しています。これまではコスト削減や生産性向上の文脈で語られることが多かった自動化ですが、今では“人がいないから生産できない”という切実な問題に直面し、事業継続の手段として自動化が求められているのです。今後のベトナムでは、人材依存から脱却し、“機械を戦力化”する発想が重要になります。

ロボット=“自動化”ではない – 現場のリアルに寄り添う選択肢

自動化というと、多くの方が産業用ロボットのような先進装置を思い浮かべるかもしれません。しかし実際の現場ではもっと身近で、現実的な方法から自動化が始まっています。たとえば、旋盤とマシニングセンタを一体化した複合加工機により工程を集約したり、パレットチェンジャーで段取り替えを自動化するだけでも、大きな省人化効果があります。また、ガントリーローダーのような簡易設備を導入することで、ロボットよりも低コストに自動化を実現することも可能です。重要なのは、無理に高度な機械に頼るのではなく、“いまの現場でできる省人化”を見つけることです。

自動化の主目的は「人を減らす」ことではない

自動化の本質は「人を減らす」ことではありません。人が集まりにくくなる中で、“限られた人数でいかに品質を維持しながら生産を継続できるか”が重要です。たとえば、検査工程における自動化は、単に人を削減するだけでなく、検査精度の安定化によって不良率を下げ、製品の信頼性向上にもつながります。その結果、顧客からの信頼が高まり、売上増加にも寄与するという好循環が生まれます。つまり、省人化は単なるコストの最適化ではなく、品質強化・市場競争力の強化にも貢献する、攻めの経営戦略なのです。

“段階的導入”が成功のカギ —— 最初に手をつけるべき工程とは?

初めて自動化に取り組む企業にとって、「どこから手を付けるべきか」は大きな悩みです。山善では、まずは人材確保が難しい、あるいは品質にばらつきが出やすい工程から着手することを提案しています。たとえば、検査や仕分け、搬送などの“定型業務”は自動化による効果が高く、現場への負担も比較的少ない導入ポイントです。そして検査で言えば、数十人が工程に従事しており、自動化による省人化効果は高くなります。「人件費が安いからベトナムに出ているのに機械に投資していては意味がない」というお声もありますが、数十人が従事し、かつ属人的になりがちな作業の場合、コスト比較をしても、十分導入検討の余地があることをご理解頂けると思います。
また、「全部を一度に自動化する」のではなく、“まずは1台”“まずは1工程”といった段階的導入によって、現場の理解と定着を進めることが、長期的な成功につながります。

現場に足を運び、“機械で補う力”を提案するパートナーに

山善がベトナムで大切にしているのは、現場に足を運び、“何に困っているのか”を肌で感じたうえで、自動化の選択肢を一緒に考えることです。自動化の進め方に正解はありませんが、ヒントは常に「現場」にあります。作業者がどこで立ち止まり、どこで手間をかけているのか。どの工程にバラつきやムダが生じているのか。そうした一つひとつの“気づき”が、自動化の出発点になります。たとえば、ある工場では部品の移動に毎日多くの人の手が割かれていることが課題でしたが、工程間に簡易な搬送装置を入れることで、大きな省人化効果が得られました。机上のシミュレーションや理想論ではなく、“目前の現場”をどう効率化するかを考えることこそが、持続可能な自動化の第一歩となるのです。

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ベトナムビジネス・工業団地ガイド 「インベストアジア」

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