採用では勝てない時代へ ベトナム製造業が今取り組むべき 「生産性改革」【Vol.22-2026.9掲載】
ベトナム北部では、人材不足や賃金上昇が加速し、多くの日系製造業が転換期を迎えています。しかし、本当に向き合うべき課題は「採用」だけでしょうか。私たちは、多くの製造現場を支援する中で、競争力を左右するのは採用力ではなく、現場が自ら改善を続けられる組織づくりだと考えています。
「人が足りない」は本当の課題なのか
ベトナム北部では、中国・台湾系企業の進出拡大を背景に、人材獲得競争が激化しています。賃金上昇や人材流動化により、「採用できない」「人が定着しない」と悩む企業も少なくありません。
しかし、課題は人材不足だけではありません。現場では、自分の意見を発信しづらく、改善活動へ主体的に関わる機会が少ないことで、仕事へのやりがいや成長を感じにくいケースもあります。
重要なのは、新しい人を採用し続けることではなく、今いる人材が力を発揮し、長く活躍できる環境を整えることです。
工場には、まだ多くの「伸びしろ」が眠っている
工場を訪問すると、短時間でも改善余地が見つかるケースは少なくありません。現場では真面目に仕事へ取り組んでいても、「もっと効率的な方法はないか」「この作業は本当に付加価値を生んでいるのか」という視点が十分に浸透していないことがあります。
改善活動の目的はコスト削減ではなく、現場で働く一人ひとりが課題を見つけ、改善を続ける仕組みをつくることです。その積み重ねが、生産性向上だけでなく、部門間のコミュニケーションや人材定着にもつながります。
タイの教訓を、ベトナムの成功へ
タイでは、人件費が上昇してから生産性改革に着手した現地企業の一部で、改善文化の定着が後手に回り、競争力を維持できなかったケースがありました。
私たちは数か月にわたり現場と伴走します。しかし、改善活動は手法を導入するだけでは定着しません。「仕事が増えるのではないか」「なぜ変える必要があるのか」といった不安や反発は、多くの現場で起こります。
製造業専門のコンサルティング会社として、私たちはこうした変化のプロセスを数多く経験してきました。そのため、改善手法だけでなく、現場の意見を尊重し、挑戦しやすい環境づくりまでを支援しています。
早い工場では数週間で、従業員から発言や改善提案が増えるなど、現場に変化の兆しが現れます。こうした小さな成功体験を積み重ねることで、現場は「指示を待つ組織」から「自ら考え行動する組織」へと変わっていきます。それこそが、持続的な生産性向上につながると私たちは考えています。
設備や仕組みだけでは工場は変わりません。現場で働く人が変わり、改善文化が根付いてこそ、生産性改革は企業の力になります。私たちは、その変化を現場で支え続けるパートナーでありたいと考えています。
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