MA特集コラム ベトナム外資規制業種:2026年最新動向とM&Aの展望【Vol.21-2026.3掲載】

YOKOYAMA KAIKEI VIETNAM CO., LTD.
横山会計グループ 代表取締役
横山 和寿

ベトナム政府は、さらなる経済成長を企図した外国投資の呼び込みと、透明性の高い事業環境の構築を目指して、2026年より改正投資法を本格的に施行します。この改正の柱は「行政手続きの簡素化」と「外資参入障壁の緩和」であり、外資企業にとっての利便性は大きく向上することが期待されています。

「条件付き」業種の規制緩和(2026年7月〜)

現在、約227業種存在する「条件付き経営投資業種」について、2026年3月施行の法改正(7月に対象リスト正式公表)により38業種がリストから削除される見込みです。これにより、従来必要だった多段階の事前許認可が不要となり、事後検査管理メカニズムへの移行が進みます。 ※主な緩和対象業種:自動車整備、職業紹介、労働者派遣、データセンターサービス、マンション管理、美容外科などが含まれます。

M&Aを通じた参入のメリット・デメリット

メリット: 高額になりやすい買収について、新投資法により事後承認が許可されないリスクが減り、サブライセンス、業法許認可、技術基準適合など自力での許認可取得にかかる時間(半年〜1年以上)をM&A承認などの行政手続きの中で短縮できる可能性が高まります。

デメリット: 新投資法による規制緩和の一方で、依然買収先現地企業の二重帳簿や簿外債務などの税務コンプライアンスの不透明さ、また買収後の企業文化の衝突によるキー人材や既存顧客の流出(PMIの困難さ)が課題となります。

新投資法施行の裏にある課題への対処

2026年の投資法改正は、ベトナムを「事前規制」から「事後管理」の国へと変貌させる重要な一歩となります。この改正により、事業開始前に個別の許可(事業ライセンス)を取得する必要がなくなり参入障壁が縮小する一方で、事後的な監査・検査の厳格化が予定されており、企業は「自主的な基準遵守」と「コンプライアンス体制の強化」を迫られます。また、M&A実務上のリスク(デューデリジェンス不足や二重帳簿などの困難さによる隠れ債務、キー人材や顧客の流出などのPMIの課題等)も依然存在します。

日系企業にとって重要なのは、規制緩和のメリットを享受しつつ、こうしたリスクを適切に管理することです。具体的には、最新の法令動向を追いながら専門家の助言を得て進出戦略を練る、買収に際しては法律・税務・財務の各分野で綿密な調査と計画を行う、といった準備がベトナムビジネス成功への鍵となります。

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