ベトナム 新規投資企業インタビュー[北部]【Vol.22-2026.9掲載】

手探りで始まった海外展開

当社の海外展開初期は、今振り返ると手探りの中でのスタートでした。タイやベトナムへの進出も、当時は現地の制度や商習慣に関する情報が限られており、実務を進めながら理解を深めていく状況でした。日本とは異なる現地の契約に関する柔軟な解釈や想定とのギャップ、立地選定における試行錯誤など、多くの経験を積むこととなりました。しかし、こうした初期のプロセスがあったからこそ、海外事業における文化の違いを深く普遍的に理解し、当社の強みを現地でどう活かすべきかという重要な気付きを得るに至りました。

価値観・経営理念の共有の難しさ

海外展開の初期においては、現地オーナーとの間でホテル運営に対する価値観や経営理念の共有に難しさがありました。当社は、接客や清掃、朝食といった基本品質に加え、安心・安全、そして「ぐっすり眠れる」といった滞在価値の向上を重視しています。これらを通じて顧客満足度を高め、リピーターの獲得につなげることで、安定的な運営基盤を築くことを基本方針としています。そのため、現場スタッフへの継続的な理念教育や日々の改善活動にも時間をかけて取り組んできました。

一方で、初期に関わってきた現地パートナーにおいては、華やかな設備投資やスピーディーな集客を重視する傾向もあり、当社が培ってきた中長期的な視点との間で、アプローチの時間軸にギャップが生じる場面もありました。従業員教育への考え方にも違いがあり、当社が理想とする「日本のおもてなし」やサービス品質を現地に浸透させるには根気を要しました。しかし、このギャップを経験したからこそ、海外であっても「経営理念に基づいた人財育成に注力し、お客様に日常の感動を届ける」という原点に立ち返る契機となりました。ベトナム進出において直面した課題とその対応

自社主導モデルへの転換

こうした経験を踏まえ、現在は自社主導による開発・運営モデルへと大きく転換しています。ベトナムでは土地使用権の取得から設計、建設、採用、運営まで一貫して自社で管理する体制を構築しました。初期投資や行政手続き、さらにコロナ禍による影響など、開発過程での負担や計画の見直しは多大なものでしたが、「現地で、日本での当社のこだわりを実現するにはこの方法がベストである」という考えのもと、計画を進めて参りました。

8年越しで実現した自社開発案件

ベトナムにおける自社主導モデルは、構想から約8年を経てようやく形になりました。2026年3月、ハノイ市カウザイ地区において全198室のホテルを開業しました。土地使用権取得から各種許認可、設計・建設に至るまで一貫して自社で関与してきたプロジェクトであり、行政手続きの長期化やコロナ禍による停滞など、幾度となく計画の見直しを迫られました。それでも軌道修正を重ねながら完成に至った本施設は、当社にとってこれまでの海外展開の知見を反映した重要な拠点です。大浴場の設置や24時間日本語対応体制など、海外出張者が安心して滞在できる環境を整えています。

営業戦略の再構築

ベトナムでは対面営業の重要性が高いため、日系企業を中心に直接訪問し、法人契約を積み上げてきました。開業前から、商工会議所などのネットワークも活用し、顧客基盤を拡大。まずは当社のサービス価値を理解していただける層の獲得を優先しています。その上で、韓国企業など他国の顧客層へのアプローチも段階的に広げており、スーパーホテルだからこそ提供できる価値を明確にした営業戦略を構築しています。

快眠とおもてなしで差別化

当社が重視しているのは、「ぐっすり眠れる環境」と「日本のおもてなし」の実現です。客室の静音性や遮音性、照明設計、寝具、選べる枕など細部にわたる工夫を積み重ねるとともに、滞在中ホテル内にきれいな空気、きれいな水を送るシステムを設置しています。また文化や言語の違いによる不安を少しでも和らげ、お客様に喜んでいただけるよう、経営理念を日々共有し、お一人ひとりに寄り添う心のこもったおもてなしをお届けしています。このようにベトナムにおいても可能な限り日本基準を再現し、ハードとサービスの両面から品質の底上げを図っています。

多拠点展開とブランド価値の深化

今後はベトナム国内での多拠点展開を進めるとともに、当社ならではの価値をより明確にしていきます。価格や立地だけに依存しない、滞在品質を軸としたブランド形成が重要になると考えています。日本で培ってきた顧客満足の考え方をベトナムでも浸透させ、日本人顧客を基盤としながらも韓国や欧米など多様な顧客層へと広げていきます。

また、中長期的には人材の国際循環も強化していきます。現地で採用・育成した人材を日本で研修し、再び海外拠点で活躍してもらうことで、サービス品質の均一化と底上げを図ります。ベトナムと日本の双方で一貫した体験価値を提供することで、継続的に選ばれるブランドへと成長させていきたいと考えています。

<2026年4月取材>
【会社・店舗情報】
日本法人 株式会社スーパーホテル
大阪府大阪市西区西本町1丁目7-7

SUPERHOTEL VIETNAM CO., LTD.
No 38, Alley 82, Duy Tan St., Cau Giay Ward, Hanoi
スーパーホテルハノイ店舗: 024-7770-9000
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