ベトナム 新規投資企業インタビュー[南部]【Vol.22-2026.9掲載】

日本における貴社の事業概要

当社は1966年の創業以来、自動ドアの開発・製造から販売・施工、保守までをワンストップで行う総合専門メーカーです。病院やオフィスといった建物の仕様だけでなく、車いすやベビーカーなど通行者のニーズにもマッチした製品を提案しています。全国26拠点を生かし、トラブル時も当社のエンジニアが迅速に直行できる安心感と機動力が最大の強みです。近年特に反響を得ているのが、木製自動ドア「Selvans」です。埼玉県飯能市に所有する自社山林のヒノキや杉の間伐材を活用し、金属やガラスにはない温かみのある空間を創り出し、CO2削減や地産地消などSDGsにも貢献しています。さらに非接触の衛生対策やバリアフリー設計、省エネ制御など社会課題を解決する製品開発にも注力してきました。自動ドアは単なる扉から、セキュリティや環境、衛生を管理する「スマートなゲート」へと進化しています。今後は顔認証やAI技術との連携をさらに強化し、当社が誇る日本の技術と安心のワンストップサービスを、アジアやヨーロッパをはじめとするグローバル市場へ広く届けていく方針です。

進出決定の背景・理由

当社がベトナムに新たな現地法人(JADIAS)を設立した背景には、日本の課題解決と未来への大きなビジョンがあります。最大の理由は日本国内の深刻な人手不足です。自動ドアはロボット工学の分野ですが、文系が主流の日本ではエンジニアの確保が極めて困難です。当社は数年前から意欲的なベトナムの理工系人材を採用・育成しており、彼らの情熱なくして現在の事業は成り立ちません。理工系大学が多く人材豊富なベトナムは、将来の事業の持続可能性を高めるための継続的な採用・育成拠点として最適です。また、自動ドアの普及には「高い治安の良さ」が大前提となります。自動ドアは個人認証するセキュリティゲートとは異なり、経済成長よりも治安の良さに比例して普及する製品です。銃を持った警備員が入口に立つ国では必要とされません。夜間でも女性が一人で歩けるほど安全なベトナムは、新規市場を開拓する上で自動ドアの普及に非常に適した魅力的な環境を備えています。

さらに、日本で学んだベトナム人エンジニアが帰国後も技術を活かし、安定した生計を立てられる仕組みを作りたいという社員を想う親心も背景にあります。今回の進出は単なる一国への拠点設立にとどまりません。ベトナムをASEANへのハブとし、将来はASEAN全体の市場を開拓して、日本の自動ドア技術で東南アジアの快適で安全な街づくりに貢献していくことを目指しています。

ベトナム進出において直面した課題とその対応

自動ドアは車いすやベビーカー、杖を携行する方や高齢者にとって、手を使わず通行できるバリアフリーな製品です。現状のホーチミンは歩道の段差が多く、ドアが重く通路も狭いため、日常で不便を感じる人が多い状況です。日本では歩道は平坦で自動ドアも普及し、快適に設計されています。せっかく自動ドアを設置しても、段差を乗り越えて通るのでは意味がありません。単にドアを自動化するだけでは根本的な社会課題の解決には繋がらないという問いが、私たちの課題であり取り組むべきミッションになりました。自動ドアの導入とともに、段差解消や快適な通行幅の確保なども積極的に提案し、街全体のアクセシビリティ向上に貢献したいと考えています。また、人材の採用と育成においては、車の運転免許保有者が少ないことも課題です。

ベトナムはバイクが生活の必需品で誰もが免許を持っていますが、車は輸入に頼る高級品のため所有者が少なく、免許保有者も著しく少ないのが現状です。当社は自動ドアの製造だけでなく、車で運搬して施工し、交換部品を積んで保守メンテナンスも行うため、車の免許は必須となります。そのため当社では、免許取得までの講習受講をサポートし、受験費用もすべて負担して社員の免許取得を支援していきます。

今後の事業展望・将来計画

当社のベトナム進出は、社名「JADIAS」の通り、日本自動ドア(JAD)とベトナムをハブとするASEANの未来を一体化させ、双方の力で社会課題を解決することが目的です。日本のエンジニア不足と現地の優秀な理工系人材を背景に、ベトナムを次世代エンジニアの最重要育成拠点と位置づけています。高品質な自動ドアの普及、技術継承、東南アジアへの安定供給体制の確立が目標です。さらに、品質のガバナンス維持のため、現地法人は本社100%出資で運営し、日本と同等の厳格な品質管理体制を敷き、理念に共感できる人材を厳選して育成し、最高品質のサービスの提供を目指します。販売戦略は、マンションやオフィスビル、病院や工場を中心に、バリアフリーの必要性が高い施設へターゲットを絞ります。確実な保守のため、当初はホーチミン市から半径100km圏内でのドミナント戦略を徹底し、迅速な対応で信頼を獲得します。将来は需要に応じてベトナム全土へ拠点網を展開していくのが長期目標です。生産・施工面では、日本の品質をそのまま提供するため、日本で100%生産した完成品を輸入・在庫確保し、現場に合わせてエンジニアが組み付ける即納体制を構築します。私たちは単にモノを売るのではなく、「日本の技術」と「ベトナムの情熱」を融合させて新しい未来を拓くことが使命です。自動ドアで街をより便利で安全にし、そこで育ったエンジニアが両国の架け橋となる未来を着実に実現してまいります。

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ベトナムビジネス・工業団地ガイド 「インベストアジア」

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