ベトナム 新規投資企業 インタビュー[ 南部]【Vol.19-2025.3掲載】
日本での事業について
当社は、1894年に乾海苔問屋として東京・浅草の地に創業以来、130年にわたり日本の食文化を代表する海苔の販売を事業の中心にして参りました。日本全国の産地で買い付けた乾海苔の卸売のほか、小売製品、お客様のニーズに合わせて加工包装した業務用海苔製品の供給を行っています。業務用製品は、コンビニエンスストアで販売されるおにぎりや手巻き寿司用の海苔フィルム (フィルムに包装された海苔)、惣菜コーナーで販売される海苔巻用のロール海苔(海苔を繋ぎ合わせロール状に巻いたもの)、カット海苔、刻み海苔、大手小売店のプライベートブランド製品など多岐に亘ります。また、鮭をはじめとした水産加工品の開発、のりあーとを代表とした新たなマーケットへの挑戦など、様々な商品開発と拡充を進めています。
日本におけるマーケット事情
日本での海苔の歴史は古く、701年に制定された 「大宝律令」において税の一種として登場しています。江戸時代に養殖が始まり、1953年に初めて人工採苗に成功し、その後の技術発展により量産化されました。生産量は1950年代の年20億枚前後から1990年代には100 億枚へと増加しましたが、2000 年代からは地球温暖化や後継事情などの影響により減少し、近年は50億枚を割り込んでいます。海苔の原産国は日本、韓国、中国にほぼ限られ、生産量は韓国が約150 億枚と圧倒的に多く、次いで日本、次に中国が約40億枚となっています。
海苔は、そのおいしさや風味だけでなく、栄養価、 効能についても注目されている非常に優れた食品であり、かつては主に贈答用の高級嗜好品として、2000 年代以降はおにぎりなどの中食を中心に親しまれています。減産により国産海苔の価格は上昇していますが、インバウンド効果もあって消費量は底堅く、 業務用を中心に日本でも韓国産や中国産の需要が高まっています。
ベトナム進出の決定理由
2013年の世界遺産登録もあって世界的に和食人気が高まる中、海苔はお寿司やおにぎりに代表される和食に欠かせない重要な食材として注目されています。また、健康食としての認識も浸透しつつあり、海外ではスナック感覚でも食べられています。
当社では、日本、韓国、中国、台湾に生産拠点を有し、世界中の人々のライフスタイルや食生活の変化に対応し、グローバルな原料・素材の調達体制の確立と加工技術の研鑽に努めてきました。「海苔を世界へ」との経営ビジョンを掲げ、一層グローバル化を推進しています。そして、海外売上を強化すべく、グループとしての生産能力の引き上げやグループ工場間の連携強化に着手しました。生産能力の引き上げについては、既存工場の拡張を検討しましたが、いずれの地域も人口減少が始まって労働力の安定確保という面で不安があったため、労働力の確保に加え内需の伸びも期待できるアセアン諸国に注目しました。労働力と内需という点では欧州、米州、南アジアにも候補となり得る国はありましたが、既存拠点との連携という観点から距離も重視し、検討対象には含みませんでした。
ベトナムについては、当社本邦工場において 10 年以上に亘る技能実習生の受け入れを通じ、労働力の質の高さを実感していました。また、従前よりベトナムにはフィルム海苔などを輸出していてマーケットに馴染みがあり、内需の一層の伸びも期待できました。アセアンにはベトナムよりも人口の多い国、賃金の安い国、インフラコストの安い国はありますが、 総合力が高く、積極的に外資誘致やFTAを活用しているベトナムに進出を決定しました。
今後のベトナムでのビジネス展開
ベトナム工場では、既存商流の移管を含めて業務用製品を中心に生産を始めますが、将来的に小売製品の生産も検討します。また、ベトナム国内販売に止まらず、食品関連の国際認証を早期に取得し、アセアン、日本、欧米へ輸出展開する計画です。
近年、海苔は、需要が供給を上回り原料価格が上昇しています。ベトナムで加工することにより製造コストを抑え、競争力の向上を図ります。ただし、ベトナムでも 2040年頃には人口ボーナス期が終了するといわれていますので、労働コストに頼るだけでなく効率化・省人化にも取り組んでいきます。
また、人材交流も活性化させたいと考えています。 ベトナム工場と既存工場の人材が互いに学び合い、 また、本邦工場に勤務するベトナム人技能実習生にとって当社ベトナム工場に勤務することがキャリアプランのひとつになるよう努めます。
積極的にチャレンジする活気ある工場となって、 幸せな食卓を世界中の人々へ届けていきたいと思います。
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